<<side続編>>双子とあたし。
振り向くと、仕事帰りの薫が小走りでこちらに向かってきていた。
「どうしたの?市役所の前なんかで……」
「これ、貰いに来たんだ」
そう言って、すっと薫に差し出した。
「これ、って……」
薫は慎重に受け取り、それを隈無く眺めた。
「結婚、届………」
信じられないのか、はたまた嬉しいのか、薫の声は震えていて……でも弾んでいた。
「ごめん、遅れて……」
薫は頭を大きく、かつ髪が乱れてしまうほど横に振った。
「それから、嫌な思いさせてて……ごめん」
これにも同様に首を振る。
「こんな場所だけど、これだけ言わせて…?」
――――…本当に雰囲気の欠片もない場所だけど。
薫はじっと俺の瞳を覗いた。
「夫婦に、なろ…?」
君とこの先を添い遂げたい。
「俺だけが薫を守るから…、傍にいるから…」
俺の思いを伝えているとき、薫は一時も俺の瞳から逸らさなかった。
変化があるとすればひとつだけ……
俺が言葉を紡ぐ度に、君の頬が紅に染まっていった。