<<side続編>>双子とあたし。
この幸せすぎる時間が夢かのように思われて、握る手に力を込める。
それに比例して薫も握り返してくれた。
その伝わる熱がこの世界を偽りではないと信じさせてくれる。
それだけで、今瞬間でも至福を感じた。
微笑みを漏らした俺の顔は、きっと薫には見えていないだろう。
その嬉しさを、また後で共有すればいい。
今はこの幸せで十分…。
歩く早さをいつもの薫の歩調に合わせた。
手を繋いだまま薫が俺の隣にくると、どうしたの?と言わんばかりの疑問符を浮かべた顔で覗き込んできた。
「なんでもない。帰ろ…?」
俺の顔は今、普通だろうか?
赤くなんかなっていないだろうか?
顔全体で感覚を研ぎ澄まし、熱を感じる。
頬の熱はいつもの如く、心の高鳴りも治まっていた。
「うん」
綺麗に透き通る声は俺をくすぐる…。
ゆっくりとした歩調は穏やかな日々の象徴で、薫はそっと俺の腕に頬を寄せた。