<<side続編>>双子とあたし。
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<<薫side>>
「…なるほどね」
ある弁護士は言う。
「それ、悠太君がいけないよ、絶対…」
相対する彼女は深刻そうな顔を浮かべていた。
「やっぱり英介くんもそう思う?」
「あたりまえ」
「そっか…」
英介、と呼ばれた五年前の元彼に悠太の婚約者である薫が人生相談をしてもらっていた。
もちろん、英介の分野ではないし、おもいっきり恋人の不満に法律が起用されることはまずない。
「というかさ…―――――」
深く座った椅子の背もたれに頭を乗せ、顔を手で覆った。
「なんでそれを俺に相談するんだろ…」
不満そうな微笑みが手から垣間見える。
「ご、ごめんねっ!忙しいならすぐ帰るからっ…!」
薫は焦ってその場を立ってドアに向おうとしたが、英介の手に行く手を憚れた。
「誰も忙しいなんて言ってない。あと迷惑だとも思ってないから」
上目遣いでそう言われて久しぶりに悠太以外の男性にドキッとしてしまった。
「じゃあ、なんで…?」
英介は疑問符を浮かべる薫に微笑みながら、椅子に戻るように仕草で促した。
「俺、まだ想ってるんだ」
―――――…一瞬、なんの話をしているのか理解出来なかった。
でもだんだんその意味を捉え始めた薫はさらに顔を染める。
「それって……」
「うん、大好き」
「……!!」
あまりにも唐突過ぎる告白にまた立ち上がって逃げようとした。
無論、恥ずかしさを紛らわすためである。
「ごめんっ!やっぱいい。ありがと、英介くん!」
「待ちなよ。さっきの話、俺の答え聞いてないだろ?」
「それは、そうなんだけど…」
薫はお茶を濁すかのように語尾を小さく呟いた。