<<side続編>>双子とあたし。
薫に馬乗りになった状態で肩を押し付け、そのまま顔が近づくのがわかった。
薫はぎゅっと目を閉じて、迫りくる危機を待った……―――
しかしそれは来ることはなく、逆に身体の自由が効くようになる。
そっと目を開けるとその男の胸ぐらを掴んだ悠太が立っていた。
『なにしてんの?』
冷静な低い声が玄関で響く。
男の言葉を待つことなくドアを開けて、悠太は彼を放り投げた。
鈍い音が聞こえたがそんなことは気にしないようで、ドアに二重ロックを掛けて薫に近寄った。
『大丈夫か?』
あまりの急な出来事に薫は何も言えず、何度も確かめるように頷いた。
『立てるか?』
悠太は薫を起き上がらせようと肩にそっと手を置くと、薫はビクッと肩を震わせた。
手は震え、自分でも恐怖が襲ってくるのが抑えられなかった。
男の手と悠太の手が違うとわかっているのに同じような感覚に陥り、背筋がゾクッとする。
『ごめん…』
やるせない声で悠太は言う。