<<side続編>>双子とあたし。
「俺が嫁にもらう」
「えぇっ!」
爆弾級の発言に薫は思わず口に含んでいたコーヒーを吹き出した。
「ああー、もったいない…」
すぐさま英介は手元にあったタオルでそれを拭き取った。
「ご、ごめんなさい…」
薫はいたたまれず、身を小さくした。
「ん、別に構わないよ。でも、それはマジだから」
「マジ…?」
「うん、マジ」
英介はどこか楽しそうに笑っていた。
―――――…本気かどうかは定かではないけど、これ絶対にからかわれてるな。
薫はしみじみと感じた。
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「今日はありがとう、英介くん」
事務所の玄関先で薫が英介に向かってお礼を述べると、気をつけて帰ってね、と手を振って見送ってくれた。
自宅の最寄りの駅からバスで帰ろうと思っていたが、何故か運休で歩いて帰ることになった。
ついてない、と思いながらも市役所の前を歩いていると悠太らしい人影を見つける。
そして、彼であることがわかり、何をしていたのかと尋ねると差し出されたのが…
「結婚、届……」