<<side続編>>双子とあたし。
首もとが少しはだけた状態の薫を見て、すぐに床に額を押しつけた。
「ごめんっ!嫌だったよな…!あんなことがあったのにっ…!」
あんなこと、とは酔っぱらいの襲撃事件のことだろうか。
「だ、大丈夫だよ!ちょっと…、驚いて…」
それに、と薫は続ける。
「あのまま身を任せてた方がよかったかなぁ…、なんて後悔してる自分がいたり…、いなかったり…?」
悠太は驚いていたが、一番驚いていたのは当本人の薫だ。
――――――…な、何をあたしはっ?!
そのままでも確かによかったかもしれないが、それを本人の前で堂々と言ってしまうところはなんとも薫らしい。
「いや、あの……そうじゃなくて……!――――…あー、そういうのでもなくて…」
必死に弁解を試みる薫だが、もはや何が『そう』なのかよくわからない。
「なんか混乱してるね、薫ってば」
弁解に明け暮れていた薫が我に返り、悠太を見るとそこには笑いを堪えている彼がいた。
「俺たち、何か混乱しすぎだよね」
笑った瞳は澄んでいて、薫は胸が高鳴るのを感じた。
「そんな急がなくたっていいのにね」
「そ、そうだよね」