<<side続編>>双子とあたし。




「―――――…誰にも見せたくないほど、綺麗だ…」



薫の肩に顎を乗せ、そっと耳元に囁く。


息の吹きかかった耳がくすぐったくて、薫は顔が赤くなった。



その様子を見て、ふふ、と笑う声がした。



そう、二人は甘い時間を過ごしていたが、忘れかけていたこの部屋には―――否、店には店員がいたのだ。




「「す、すみません…」」



二人はぱっと放して距離を置いた。



「あら、私はそういうのは構いませんので続きをご遠慮なく…」



「いや、この状況で続きをしろって…」


悠太が薫を見た。

その目配せに薫も応える。


「む、無理だよっ!」




「まぁ、残念!」


店員はこの二人が気に入ったらしく、声を上げることこそなかったがそこそこ笑い続けていた。



「お二方を見て、私も恋がしたいと思いました。悠太さん、今度は新婚の歌詞を期待しています」


「あ、今回は俺じゃなくて…―――――」




と、ちょうどそのときっ…―――!








< 36 / 80 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop