<<side続編>>双子とあたし。
楽しそうな声が一輝の奧から聞こえた。
「誰かいるのか?」
「あぁ、ちあきな…。すまん、今『芸人リアクション爆笑映像』を見てるんだ」
なんだそれ?
ここで悠太はあえて口を挟まなかった。
「その、ちあきさんとはうまくいってるんだな」
「まあな」
一輝の楽しそうに笑う声がする。
きっとちあきを見て微笑んだのだろう。
「籍もこの前入れてきた。でも、式はまだかな?ちあきの仕事が落ち着いたらしようと思うんだ」
「そっか…、やっぱ一輝だな」
「?、悠太?」
「……俺、あいつに何もできてないんだ」
一輝は、あいつ?、と一回呟いた。
「ああ、薫ちゃんか。なんだ、まだ籍も入れてないのか?」
悠太は小さく頷いた。
しかし、ご存知のように現在通話中である。
その悠太の仕草が一輝に伝わらないのは言うまでもない。
「婚約指輪は渡したんだ、『結婚しよう』って…。でも、その先がリードできなくて……。きっと薫も気にしてると思うのに、本当に俺でよかったのかと迷うんだ」
電話の奧から深いため息が聞こえた。