<<side続編>>双子とあたし。
そんなことになったら、自分の立場が危うくなるだろう。
回避するためには、まず当人の前では冷静を保つことが必要になる。
最低でも二人の結婚式には出席するのだろうから、歌を披露する昂太は必然的に鉢合わせすることになる。
「…冷静さが、この重要な鍵だな」
すでに昂太の頭の中では、当日のシュミレーションが行われていた。
――――――――って!!
「今はそれじゃねーだろっ!」
悠斗に恥をかくならまだしも、人気バンドが歌えなかったらそれこそ恥だ。
今は歌詞を考えるべきなのだ。
自ら挙手したのだから、責任持って最後までやり遂げなければならない。
「………っつ、ってもなぁ――――」
昂太は顔を上げて、二本目の缶ビールを開けた。
――――――…歌詞からか?曲からか?
真っ白な天井を見上げた。
虚無な色に思いを馳せていると、ふと言葉が浮かんだ。
「―――――…おめでとう」
二人を祝福する最高の言葉だ。
――――――…そっか、俺の気持ちを表現しよう。
きっと、薫は微笑んでくれるだろう。
もちろん悠太も感動させてしまうような歌を純粋に作りたい。