<<side続編>>双子とあたし。
「じゃ、俺らは退散するから、披露宴来いよ」
そう、なんだかんだでこのグループは新郎新婦を迎えに来ていたのだ。
話があらぬ方向へと飛んでいってしまう。
それは大抵昂太と慎司の会話によって施行されるのだが、あまりにもいつものことだったので誰もそれを止めようという人はいなかった。
―――――否、ひとりいた。
この場で、一番華やかしい衣装を身にまとった彼女の存在が。
彼女はいち早く彼らの目的を察知し、悠太に伝えるべく口をパクパクしていたのだが、……ご存知のように彼らはある世界に入り込んでしまっていたため誰も気づいていなかった。
しかしながら、薫はそれを気に病む様子はなかった。
彼女自身もまた、そのやりとりを気に入っていたからだ。
三人を追い返して帰ってきた悠太が薫の目の前で跪いた。
「……えと、ゆ、悠太?」
俯いた状態であるため、悠太の顔の表情は見えない。
すると、手前にすっと手を差し伸べられた。
「お手をどうぞ、……姫」
こちらを向いた顔はいたずらっぽく微笑みかけていた。
薫は火照る顔を必死に抑えて平然を装う。
「はい……」
そして、負けじと薫も目尻を下げて笑った。