『ただ片想いに戻っただけなんだ』
1、出会い
初めて会った時、自分とは全く違う匂いを感じてた。


この人と関わることはきっとナイな。


そんな風に感じてた。



転勤して来た彼は、みんなが黒い髪に、整えられた制服をまとう中、


モヒカンにピアス。



私には異人種のように思えて。



怖い人。な印象。



だけどそのまま上司に呼ばれ、次の日モヒカンは坊主になり、ピアスは外されていた。



何がしたかったんだろう。



でも......面白い人。



そんな私の思いは当たっていて、彼は面白くて優しい人だった。



仕事も一生懸命。



接客業として働いているにも関わらず、人見知りで話すのが苦手な私にも、彼はよく話しかけてくれた。



だいたいの人は、私の人見知りの激しさに話すことを無くし、苦笑いを浮かべて去っていくのに、彼は違ってた。



『人見知りやのに接客業をしてるなんて、偉いな』



そう言ってクシャッとした優しい笑顔で、私に笑いかけてくれた。



私を可愛いって言ってくれた。



飲みに行こうって誘ってくれた。



単純に嬉しかった。



私は少しずつ彼に惹かれていたから。


だけど、分からなかった。


私を誘う理由が。


コンプレックスだらけの私を。


何で私なんだろう。


疑問。
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