『ただ片想いに戻っただけなんだ』
私の頬にキス。



アゴにキス。



首筋にキス。



私の指にキス。




またゆっくりと、愛おしそうに、唇にキス。




そして浩の右手が、私の胸を優しく撫でる。




その瞬間、私の体は強張って動けない。




『実久、大好きやで』




浩の優しくささやく低い声。




その言葉にゆっくりと緊張はほどけていく。




だけど私の動揺は浩にも伝わっていて、浩はゆっくりと優しいキスをくれた。



そして優しく微笑んで、



もう一度、




『大好きやで』




そう言って私を、今度は強く抱きしめてくれた。




『ホタル残念やなぁ。今度また見に来よか』




耳元でそう私にささやき、ゆっくり自分の体から私の体を離し、




『じゃあ動いてもいいか?』




と、ハンドルに手をかけた。




私は小さく頷いて、何だか申し訳なくて、ちょっと苦笑い。




そして車はゆっくり走り出した。




私は小さな緊張が少しほどけて、




ちょっぴりウトウトしながらも頑張って必死に起きようとしていると、




『寝ててええよ』




優しい瞳で、優しい言葉を浩がくれた。




私はその言葉に笑顔で答え、少し目を閉じると、浩は信号で車を止める度に優しいキスをくれた。




私が少し目を開けると、




『そんなに眠いならいつでも添い寝してあげるのに』




そう言って微笑みながら私を見つめる。




私は目を少し反らしてゆっくり笑う。




浩が私を求めているのが分かる。
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