『ただ片想いに戻っただけなんだ』
入ったのは、キレイな外観の小さな可愛いホテル。



部屋に入ると、ベッドとヒョウ柄の小さなソファー。



どうしていいのかも分からず立ちすくむ。




『テレビ何やってるんかなぁ』




そう言って浩がソファーに座ってテレビのスイッチを付け、チャンネルを色々と変え始めた。




そして私を見て笑って、




『何でずっと立ってるんや?おいで』




と、私の手を引いて、ヒョウ柄のソファーに並んで座らせてくれた。




浩と肩が触れ合う。




心臓が飛び出しそうなほどの緊張。




ゆっくりテレビを見ている余裕なんて、私には一切ない。



浩はバラエティ番組を見ながら、



『こいつら本間に面白いよな』



と、大声で笑っている。




ホントに二人でダラダラゆっくり過ごすために来たのかな?




『実久、ジュース飲む?』




私がうなずくと、途中のコンビニで買っておいたミルクティーを渡してくれた。




浩はカフェオレを飲みながら、相変わらずテレビにくぎづけ。




私もテレビの画面は見ているものの、内容なんて一切頭に入って来ない。




そして浩がテレビを見始めてから一時間ぐらいが経ち、私の緊張の糸はとっくに切れ、少し眠くてウトウト。




『実久。眠いん?』




テレビから目を離し、ウトウトしている私に浩は目を向けた。




『うん、ちょっと眠い』




私がボーッとしながら眠い目を半分開けて答えると、





『じゃあこっちおいで』




私の手を掴みベッドへと連れて行った。




一気に目は覚め、緊張はまたピークに。




ベッドに入ると浩は、




『眠いんやったら寝てええよ』





そう言って、私の髪を優しく撫でた。


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