手紙~拝啓、先生さま~
出会い
「チャンスじゃん結城」
「…何が。」
朝礼後。
私は友達の咲希に、今朝のことを話した。
「その塾の話っ!」
「…えー何が?」
チャンスも何もあるか…
大っ嫌いな数学を勉強する時点でチャンスの"チ"もない。
「最近、先生と元生徒の結婚多いしさぁー。もしかしたら、もしかしたりするかもよ?」
「…咲希、それはない。」
―確かに、最近先生と生徒同士の結婚・恋愛が多くなっている。
周りで例えたら…
社会科の佐藤、
化学の岡本、
英語の笹川………
「それぞれ手持ちの教科に夢中で根暗。」
「生徒には人気がない上に、することなすこと全てがダサい。」
悪い評判しかまわっていない。
うーん…みんなが気付いていないところに気付くと落ちるってやつ?
…小説と漫画の読み過ぎかな。
でもそっかぁ…
イケメン先生が数学担当だったら…
嫌いな数学も好きになれるかも!?
…いやいやいや、そんないい話がある訳ないって…。
―あれこれ馬鹿なことを考えながら、私は朝礼を終えた。