HELLO
「だからそんなんじゃないんだってば」

選んだ服を着ると、今度は髪を束ねるために鏡台の前に立った。

シンプルな黒のバレッタを出し、ハーフアップにする。

「よし」

鏡の中の自分に首を縦に振ってうなずいたら、鏡台のうえに置いていた携帯電話が鳴った。

祐二からのメールだ。

『もうすぐつく』

祐二らしい、絵文字がないシンプルなメール。

絵文字があったらあったでも嫌だけど。

そう思いながら携帯電話をカバンにしまうと、玄関に向かった。

「じゃ、行ってくるから」

親太朗がいるリビングに向かってそう言うと、ドアを閉めた。

「さて、と:

エレベーターで1階に降りて、マンションを出て行くと1台の車があった。
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