HELLO
その日の夜。

「ただいま」

祐二が帰ってきた。

「おかえり」

玄関まできた私に、祐二はフッと笑った。

「どうしたの?」

笑った理由がわからなくて思わず聞いた私に、
「いや、家に誰かがいるって言うのがこんなにも嬉しいんだなって思って」

祐二は笑いながらリビングに向かった。

「祐二、あのね」

「ん?」

「やっぱ、いいや。

お腹すいたでしょ?」

信子さんと会ったことを話そうかと思ったけど、やめた。

なのに、
「信子さんに会ったんだろ?」

祐二が言った。
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