HELLO
何となく状況を見ていた私は我に返った。

そうだ、財布!

私は片桐の前に財布を突き出した。

「忘れ物を届けにきました」

忘れないうちに財布を出した私に、
「へえ、言って見るもんなんだな」

片桐は財布を受け取ると、ポケットにしまった。

そりゃ、あなたのご指名でやってきましたからね!

心の中で毒づいた後、
「では失礼します」

「ちょっと待て」

去ろうとしたら、彼に腕をつかまれた。

「な、何ですか」

こっちは早く帰りたいのに!
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