HELLO
「姉貴、何しにきてん…」

呟くように聞いた親太朗は幽霊そのものである。

「何って、近くに用があったからきてん。

みやげ持って」

百合子ちゃんはケーキの箱を見せてどや顔をした。

「駅前の新装開店のケーキ屋のプリンやで〜。

杏ちゃん、食べたいって言うてたやろ?」

「わー、ありがとう!」

私は百合子ちゃんからケーキの箱を受け取った。

「ほな、お邪魔させてもらうわ。

邪魔すんで〜」

「邪魔すんなら帰って…」

親太朗の呟きを無視すると、百合子ちゃんがズカズカと中へと入って行った。

私はキッチンに向かうと、紅茶の用意をした。
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