HELLO
翌日のお昼、私たちは病院の中庭のベンチに座っていた。

「絶対バレるわ」

親太朗が言った。

「仕方ないじゃないの、あんたしかいなかったんだから」

私はバシッと親太朗の二の腕をたたくと、たしなめるように言った。

理由は、片桐に婚約者がいることを話すためだ。

私の婚約者役として白羽の矢が立ったのは当然、
「俺、こう言うのヤやねん」

親太朗である。

「私だってあんたはお断りよ。

でも、あんたしか男の知り合いがいなかったんだし。

何より、百合子ちゃんの命令でしょ」

「そらそうやけど…」

そんなやりとりをしていたら、
「あ、きた!」

百合子ちゃんが片桐を連れて中庭に入ってきた。
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