HELLO
片桐の姿を見た新太朗が、
「あいつがお前のことを口説いてるっつー院長さんか」

私に話しかけた。

「そうよ」

そう答えた私に、
「はあー、見た目は昭和の男前っつー感じやけどなあ。

あいつが女に情けないなんて、何か想像できへんわ」

コソコソと話している間に、片桐が私たちに近づいてきた。

「台本通りに演じればいいからね」

「わかっとる」

私たちは一緒にベンチから立ちあがった。

「院長先生、つきました」

私たちの前につくと、百合子ちゃんは1歩後ろに下がった。

チラリと、私は親太朗に視線を送る。

送られた親太朗は、
「初めまして、後藤親太朗言います。

山崎杏樹さんの婚約者です」

そう言った後、頭を下げた。
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