HELLO
当然、彼女と一緒にここで過ごしたはずだ。

ソファーに座って一緒にテレビを見たり、いろいろとしたはずだ。

「言っとくけど、連れてきたのはお前が初めてだ」

その声に視線を向けると、手にマグカップを持っている片桐が立っていた。

片桐はマグカップを渡すと、
「紅茶でよかったか?」

「うん」

首を縦に振ってうなずくと、マグカップを受け取った。

片桐が私の隣に腰を下ろした。

「今の今まで、俺は女をここに連れてきたことはない。

外で会って過ごすのが当たり前だった。

でも…」

片桐が私に視線を向けた。

その視線に、不覚にも私の心臓がドキッと鳴った。
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