ファンタジスタ マジシャンズ
港町 ウンディ

水の護り神とされるウンディーネの名前から取られたと言われる、それなりに大きな町に二人の姿があった。

「それで?なんで手強いってわかったんだ?」

小さな食堂の小さなテーブルを囲みながら、二人は話す。

「うん。だってね、僕は上級賢者だろ?」
「今更だな」
「うん。それほどの魔力も知識もある僕ですらモンスターは作れない」
「そうなのか?」
「そうだよ。モンスターを作るには膨大な魔力と知識がいるんだけど、それとは別に称号がいるんだよ」
「へぇ…」
「魔物使いって称号は優輝も知ってるだろ?」
「あぁ。それくらいはな」
「魔物使いも、上級になるにはかなりの魔力と知識がいるんだ」
「それで?相手は上級魔物使いってことか?」
「違う。魔物使いは魔物を召喚して、使役することは出来ても作り出すことは出来ないんだ」
「と、なると…」
「魔物を作り出すことができるのは、この世に一人だけだ」

澪の目が、珍しく眠たそうにまぶたを開けているのではなく、しっかりと開かれている。
優輝は悟った。

「魔王…か…」
「うん」
「魔王は1000年前の光魔戦争で死んだはずだぞ?」
「死んでないよ」
「は?」

澪は、手の中に小さな闇を作り出しそれを球体に維持してからそっと打ち消した。

「お前…今…」
「賢者だからね。呪文なんかなくったてこれくらいの魔法くらい使えるよ」
「これくらいって…」

闇。
それは、光の対となる存在であり、魔法では究極と呼ばれる存在でもある。
辺りを光で照らす程のものなら、中級魔法使いでも呪文なんか言わなくてもそれを生み出すことは可能になるが…。
闇はまた別である。
例え、ピンポン玉ほどの大きさの闇でも、上級魔法使いは呪文を唱えなければ、生み出すことは出来ない。
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