桜から君が降ってきた。
「ゲホっ…うぇっ…」
「だ、大丈夫か?優…。お前、喘息が…」
「ゲホっゲホっ」
運ばれて来た山賊焼きチキンなるものは、それはもう咳こむほどスパイシーなものだった。
な、涙出るし…!苦しい…。
「優ちゃん、無理して完食しなくても大丈夫よ…?」
後ろからかすみちゃんが気遣うように声を掛けてくれた。
小さいころに患った喘息のせいで、未熟児だった僕はさらに病弱になり、ママは必要以上に僕を気に掛け、甘やかした。
そのせいもあり、野菜が嫌だと言えば他の家族よりかなり少なくしてもらったりして、好き嫌いは激しいものになった。
一瞬、ママに甘えるように、かすみちゃんの優しい言葉にも甘えてしまいそうになった。
でもっ…!
僕はフォークとナイフを固く握り直した。
好きな子の前でそんなことしたら、オトコがすたるってもんじゃないか!
僕は景気付けにカルピスを一気にあおると、改めてチキンにナイフを入れて、ガツガツ食べた。
パパはそんな僕の様子に目と口をO(オー)のように丸くしていた。