桜から君が降ってきた。




結局、僕は例の『山賊焼きチキン』と、サラダをお皿一杯、野菜のスープを見事に完食した。



胃が破裂しそう…。


空っぽになったお皿数枚を見て、完食したんだ自覚しはじめた。




……僕、気付いた。


僕は、野菜が“嫌い”なんじゃなくて、“嫌いだと思っていた”だけだったんだ。


マニュアル通りに作られた料理とは言え、(例えそれが濃い味付けだったとしても)毒ではないのだから(←)普通に食べられるし、強いていうなら、美味しかった。



これからは、お野菜もちゃんと食べてみよう…。


僕は密かにそう決意してみた。



「優…どうしたんだ。完食するなんてはじめてじゃないか。」


「こ、これくらい普通だよ…(かすみちゃんのいる所でそんなこと褒めないでよぅ!!)」


パパが感心半分、驚き半分、といった様子で僕を目を細めて見た。

僕はその目からちょっと逃げるようにカルピスを口に含んだ。



「新しい学校で好きな子でも出来たのか?」

ブーーッと危うくカルピスを噴き出しそうになった。


涙目になりながらそれを必死に阻止した。

が、その代価としてまた咳こむことに。


「ゲホっゲホ…ゼー…ハーッ」


「なんだベタだなー、図星かぁ~?」


ちょ、喘息っ…ぶり返しそうなんだけどパパ!!



と、心の中で訴えてみるけど、快活に笑う(爆笑に近い)パパに僕の言葉が届くわけがなく。





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