桜から君が降ってきた。



「…大、丈夫…?」


後ろからかすみちゃんが何故か控えめな様子で僕の背中をさすってくれた。



「う、うん…コホンっ」



僕はこの時、自分の咳を止めるのに必死で、僕をさすってくれているかすみちゃんが伏し目がちだったことに気付かなかった。













「失礼しまーす…」



僕は、ドキッとして顔を上げた。


声のした方を見ると、かすみちゃんがドアから顔をちょっとだけ覗かせていた。



「保健の先生は?」


「職員室に行ってるよ」


「そっか…」


「どうしたの?」



僕は座っている回転式の丸椅子を回転させて、かすみちゃんの方を向いた。



「あの、突き指しちゃって」


かすみちゃんは左手の人差し指を右手で守るように添えていた。



それくらいなら、出来るかな。



僕は椅子から立ち上がって救急箱を探した。



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