桜から君が降ってきた。
それから、なんとか順調に登ることができ、樹全体の真ん中くらいの高さに来たときだった。
「優ちゃんっ!!」
ごくりと唾を飲み込んで、ゆっくり下を見下ろした。
「かすみちゃん…」
かすみちゃんが目をまん丸にして僕を見上げていた。
「危ないから、やめてっ…!」
心底心配そうな表情でかすみちゃんが叫ぶ。
それに僕は微笑んでいた。
「僕は、か弱いけど、男の子だ。大丈夫だよ」
それに、とかすみちゃんの心配そうな顔は気にせず続けた。
「僕、辛いの苦手で、お野菜も嫌いだったんだ。だけど、かすみちゃんにかっこ悪いところを見せたくなくて、あの日がんばって山賊焼きチキンもお野菜も全部食べたんだ。」
かすみちゃんの目が大きく見開かれる。