桜から君が降ってきた。
「ありがとう。」
何が、なんて聞かなくてよかった。
聞く必要なんかなかったから。
僕は微笑んだ。
「どういたしまして。」
「じゃ、僕から降りるね」
そう言って僕はかすみちゃんの横を通り過ぎて先に降り始めた。
「え」と、かすみちゃんが言ったことに気づかなかった。
なんとか無事に地面に着地することができ、久しぶりの地面の感触に安心して、かすみちゃんの様子を見ようと顔を上げた。
「っ……!」
かすみちゃんが顔を真っ赤にさせて樹の途中で固まっていた。
その瞬間、僕は自分のヘタレに改めて気がつかされた。