桜から君が降ってきた。
桜の話
昼休みになると、クラスのみんなは外に出て遊ぶようで、僕ももちろん誘われて校舎の外に出た。
どちらかというとインドア派だっただけに、外に出るのをちょっと躊躇った。
すると、ある女の子二人組が嬉しそうに僕に近寄ってきて耳打ちした。
「かすみちゃんも、みーんな外で遊ぶのよ。」
「そうそう、アタックしなきゃ!」
あっけにとられて中途半端に靴に脚を突っ込んだままだった僕は、バシッと肩に威勢のいい根性を入れられてしまった。
女子って、すごい。
「6年1組ご一行さまー!こちらでーす」
クラスの中心的存在らしき男子がふざけて手を振りながら後ろ歩きしてクラスメイトを集めた。
わらわらと40人弱の制服の集団が集まる。
その中から何故か一目で、かすみちゃんをみつけてしまった。
かすみちゃんは僕の視線に気がつくと、にこっと笑って手招きした。
「あたしの近くにおいで。色んなこと、教えてあげるよ。」
まだ少し肌寒い風に吹かれて、かすみちゃんの髪がまるで舞っているようにみえた。
鼓動が、ハムスターみたいに超高速になるのが判った。