夜の園


あんなに憎んでいたはずなのに。

今は愛おしく、胸を突き上げる

この暖かな感情は恋慕のソレで。

私は憎しみに心を囚われていながら

桜に強烈に心を奪われていたのだと知る。

…こんな直前で知る何て。

私が憎んでいたのは自分自身。

あまりに違いすぎるがゆえに

まぶしく、輝いて見えた。

そして、まぶしすぎるがゆえに

手さえも伸ばせない自分自身が憎かった

触れたい!あの体に

あの、心に!!!

それなのに…

『…桜も私も馬鹿ね。』

そういってゆるりと笑う。

『≪…死ぬ時も、堕ちる時も共に。≫』

『それが、貴女が望んだことでしょう?桜。』

『なのに、貴女だけ逝くなんて、ずるいわ。』

『貴女の鮮血に染まったこの白いドレスで。』

…ちょうど白いドレスで婚約パーティーなんて

馬鹿げたところへ行こうとしていた自分に感謝する。



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