夜の園


「…堕ちた、んだ。。。」

愛していた。

本当に、心の底から。

けれど、あんなに狂ったように1人を

愛し続ける彼女を見て、おれは

本当は彼女を愛していなかったのでは

ないのではないか。とさえ思った__。

あまりに強すぎるそれは崇拝にも似て。

あんな激情。

身を焦がし、心を喰らいつくさんとする愛に

俺の愛は似使わなさ過ぎて。

「…≪永遠の眠りと愛を蝶と花に≫」

俺はその最大の禁忌を犯した

罪深き少女たちに。

ただただ祈りの言葉を捧げる__。

「…でも、言ったよね?…どこまでも君たちを見守り続けると。」

…それは地獄の底までも。

「バイバイ。つまらない俺たちの世界…。ありがとね。」

音もなく俺は空を飛んだ。

その浮遊感は心地よくて。

近づく地面を想い、ゆるりと微笑んで。

俺は地に墜ちた。

あの日の彼女たちのように。



end
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