☆ハイローハート
捨て猫
薄く開いたドアから手をのばして新聞を取り、素早く入るとドアをしめた
軽い足音が部屋の奥からトトト……と聞こえてきて、閉まってしまったドアに気づくと不服そうな目を向けてくる
「脱走しようとしてるな、お前」
その更に奥から重鎮の鈴の音
チラリとアタシを見ると、そのまま横切っていく
「見てみなよ、サリーの余裕っぷりを」
アタシは荷物を詰めて重いカバンを玄関に置いた
そこにつけていたふわふわのキーホルダーに突然突進してくる素早い影
「こら!カブ!!それはお前のおもちゃじゃない!!」
華麗にアタシの足元をすり抜けていく
フローリングの床はよくすべることも計算にいれての臨戦ポーズ
「ばーか」
アタシがかばんを持ち上げると、両手をあげて立ち上がって、猫パンチをかましてきた
だけど、すぐにバランスをくずして、両手を床につく姿
「カブ、まだ後ろ足調子悪いの??」
アタシは片手でカブを抱き上げて、リビングに入った