☆ハイローハート
「なんかもう、傷の痛みも全然なくなったけど、朝のチャリ通学は定番になってしもたな」

今朝も駅まであこと二人乗りで来たところ

ホームで電車を待っていると、「あの」と声をかけられた
キレイなローファーが見えて、視線をあげるとアタシの学校の近くの男子校の制服
こちらを見るメガネの奥の目は切れ長で冷たそうな印象を受けた


「……はい」


と思わず返事したけれど、この人……
自転車に乗って走ってる時何度かすれ違った人や
一見メガネでインテリっぽいんやけど、体格が良くて
うん、近くで見てもやっぱり体格がいい

革の制カバンから白い封筒を取り出すと、目の前に見せられた

「これ、読んでもらえるとありがたいんだけど」

「はあ……」

よくわからないまま受け取ると、背後にあるベンチにサッサと歩いていって何事もなかったように本を読み出している

……???

あこがキョトンとしながら言う

「あの制服って、洋平くんと一緒の学校だよね」

「うん、そうやと思う」

本人がいる前で開封するのもどうかと思って、とりあえずそれをカバンに入れておいた


いつものように学校の最寄り駅近くのコンビニに寄っていく

「あ!発売されてるや~ん」

とアタシは一冊の雑誌を手にとってあこを呼んだ

「あこは、さそり座やな
えっと……今月のさそり座は、
“鮮度のいい魚は、やはりおいしい”」

「何?」

「鮮度のいい魚は、やはりおいしい」

「何の話?」

「恋占いやん
で、ラッキー……ウェザー?」

「ウェザー?アルファベットじゃなくて?」

「ラッキウェザー、晴れって書いてある」



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