☆ハイローハート
「その雑誌、奇抜さが増してない?」

あこはこないだ雑誌に影響されて買った“洋食屋さんのハンバーグ弁当”にはまっていて、今日もそれを片手にすでに持っていた

「アタシのいて座は~
“目の輝きを失わぬように、鮮度の落ちた魚の目は、にごっているものである”」

「なんでいちいち魚を引き合いに出すんだろうね
なんか、魚ブームでもきたのかな、この占い師に」

「ラッキーウェザー、夕方のにわか雨」

「もう、マジで意味わかんないんだけど……
雨降った時点でラッキーじゃないからね」

あこの突っ込みに思わず吹き出した
彼女の突っ込みの的確さはいちいちおもしろい

アタシは雑誌を元の位置に戻すと、パンを数個とジュースを手にとってレジへ向かった

登校の道すがら、あこがメールをしている

「朝から、彼氏にメール?」

「うん、学校ちゃんと行ってるよってメールしないと、誰とさぼったとか、いちいち大変だから」

大変……ですね~
所詮他人事なんだけれど


「なあなあ、鮮度のいい魚はやはりおいしいってさー、新しい男に乗り換えろって意味なんじゃないの~?」

アタシがそう言うと、「あの占いは当たんないって」と切り捨てられた

まあ、確かにうさんくさいけど……と思っているとあこが肩をすくめて眉を寄せた

「だって、ラッキーアルファベットだって全く意味わかんなかったし」

「あこがMでアタシがJやったっけ?」

「確か、MとJだったね」

「MとJねえ……、ん?」

アタシの脳裏にチラッと何かが見え隠れする

「何?」とあこがアタシを見た

「MとJ??って、何かあったような」

「何?」

「何やったっけ……それを思いだせん」

「ああ、じゃあ意味ないね」

「気になるや~ん」

「思い出せないってことは、大したことじゃないんだよ」


……あこは、今日もバッサバッサといつもより多目に切り捨てております


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