☆ハイローハート
紙を受け取ったMJがすごい勢いで数字を書いている背後をトイレから出てきたあこが通りがかる

「あ、ねえねえ、名前なんてゆーの??」

あこがMJの背後に座っていた男に腕をつかまれている

「あこ、で、あっちがモロとMJ」

男達がこちらを見ながら「MJちゃんはハーフなんだ」って楽しそうに言うのを聞いて、あこが首をひねる

「ハーフは、モロだよ」
「え?英語だから、あの子がMJかと思った」
「MJはこの占い師」
「あだ名からくるイメージ逆だよね~」
「……そう言われてみれば」

男の子達はあこを自分たちの近くに座らせたい様子……だけど、とよきの声が彼らの会話を遮った

「おいあこ、お前がこの間送ってきたメール、意味不明なんだけど」

「え?どのメール?」

「これ」

携帯の画面を指差して自分の方へくるように仕向けると、あっという間にあこを横に座らせたとよき

……アイツ、あこの事ダイッスキよな


「簡単な姓名判断なんだけど……」

MJが話し出したから、思考を止める

「八方美人の人気者の彼女をオトしたのね」

あこもこっちに身を乗り出している
彼女にいたっては占い結果というより、MJの顔を直視して、MJ自体に興味を示しているようだけど

「結論から言わせていただくと、相性は悪くないわ」

ナルと理一が「イエーイ」とハイタッチ

「だけど、条件があるの
彼女のわがままに徹頭徹尾付き合うこと」

難しい四字熟語を早口でスルスル言われて理一がMJを見たまま止まると、あこが「つまりは女に振り回されろってことよ」と注釈をいれた

「かみくだいて言うと、そうね、そんな感じ」

MJも同調した
彼女が紙の上に人差し指を行き来させているのが気になって視線を落とすと、理一が書いた二人分の名前の下に「諸岡みさき」とかかれてあるのが見える

……ん?

「かわいい彼女ができて浮かれる気持ちもわかるけれど、性交渉は少し待った方がいいわ」

理一が「え」とまた動きを止める



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