☆ハイローハート
「それは、彼女と付き合うことのメリットやリスクのことかもしれないし」

「そんな事考えて人と付き合うかよ」

「もっと相性の合う人がいるのに、気付いていないかもしれない
とにかく、あなたが何を見落としているかまではわからないわ
ついでに言うと、見落としているかどうかもわからない
見落としていないかもしれない」

理一はぐしゃぐしゃっと頭をかいた



「俺、さやかちゃんと相性はいいんだよね?」

「ええ、悪くない
ただ、あなたの場合は、結構だれとでも相性いいはずよ
柔らかい球体は、どんな形にも柔軟に対応できるから
相手に合わせることができるあなたは、表面上誰とでも上手にやっていける」


理一が「うーーーーん」と唸っている

MJの言葉は、淡々と語られるけれど、解釈が難しい


「どんな人にも合わせることができても、本当のあなたはどこかしら?」


理一は本格的に黙ってテーブルをじーっと見つめ出してしまった

「MJ……それただの姓名判断?」

あこはあんぐり口をあけて、ため息交じりにMJに聞いている

MJはかばんをガサゴソとまさぐりながら「西田理一さん、あなたの運勢を快方に向かわせる方法があるわ」と


……パワーストーンプレスを取り出した



クリスタルの間にタイガーアイや名前の知らないストーンが入っている

もちろん、アタシとあこは同時にずっこけて「「MJ!!」」と呼ぶ声が重なる

MJはうるさそうに両耳を手で押さえて眉をしかめている

理一が興味津々でパワーストーンブレスを手に取り「いくら?」って聞くから、あこがテーブルをドンッと叩いた

「1万円になります♪」

営業スマイルMJ

アタシは「理一はこんなのがなくても開運できるよ、大丈夫」と彼の手からやんわりとブレスを取り戻した

MJに向き直ると、めちゃくちゃじぃっとアタシの目を見つめ返されてドキリとした

ガラスのように透き通った目に何もかもを映し出された気がして、吸った息が吐き出せない

あこが「そりゃーオーストリッチだよ!!」とやさぐれた声を出して、アタシは現実に意識を戻した



< 120 / 756 >

この作品をシェア

pagetop