☆ハイローハート
「ああ!もうわかった!
アタシの分使って!!!」

「……毎度ありがとうございます」

力なくして理一の横にペタンと座ると、ナルを恨めしげに見た


「ナルがあの時タロットをめくらんかったら、そのままアタシが占ってもらえてたのに……」

「え?そこで俺のせい??」

「そうや……」

「素敵な人と出会えるか占ってもらうつもりだったんだろ?
ならもう俺と出会ってんじゃーん」

……なんのテンションだよ

返事もせずにいるとMJがナルの顔を見て「やめたほうがいいわよ」と断言した

「そうして彼女にアピールしているうちはいいけれど、実際彼女が自分の物になると、骨抜きにされるから」

「へ?ややや、ちょっとまって、俺今日金ねーよ?」

「ただの人相学よ、占いじゃないわ」

「……あ、そう」

「好みの女にはずぶずぶに浸かるだらしない顔してるもの」

ナルは「ん?」とあごをつきだしたあと、あこに「なんかこの子俺に冷たくない~?」と泣きついて、無視されていた


ピョコンと顔がしきりの横から唐突に出てきた

髪を二つに分けて結んで、白いブラウスの上に紺の大き目のベストを着て短いスカートが裾から少し出ている

「りーちくん♪」

その場にいた男達の目が一斉にハート

もちろんさきほど硬派を気取っていたとよきも然り

「さやかちゃん、こんなとこまでごめんな」

「ううん、いいよー」

理一とさやかが指を絡ませて手をつないだのが見えた

バイバイすら言わず理一は「行こーゼ」と歩き始めて、さやかは振り返ると男連中に「バイバイ」と手を振った


バイバーーーイ


男達の惚けた声が間抜けだった


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