☆ハイローハート
「それの、何がいい話よ」

「お前、近藤さやかっつったら俺たちのアイドルだぞ」

「あ~っそ」

あこはしらけた目のままこちらに向いた


「アタシ達全員おんなじ中学なんだけど、近藤さやかって……まあ、学年のアイドルみたいな子なの」

「へえ」

適当に返事
地元ネタを繰り広げられても、ついていけない


「そりゃもう、子犬みたいに愛らしくて、おしとやかで、ガードが固くて、メアドなんて知ってる男いねーんだから」


理一って男がうっとりしたようにそういうけど、……ガードが固いって、君にメアド教えたんでしょが


頬ずりしそうな勢いで携帯を握り締めて「さっそくメールしちゃお」となにやら操作している

他の男二人は、我関せずって感じで思い思いに自由にしている



あこが仕切りなおすように「えーーと、で……」と一人を指差した

「肩にサリーって、うちの猫を乗せてる男が種田とよき

なんか無愛想で強面だけど、やたら動物に好かれるの」


確かに、他の二人に比べるとちょっと大人っぽいし落ち着いて見える

肩に猫を乗せてるのが、笑けるけど

会釈されて、会釈を返す

あ、常識人っぽい



「俺はぁ」


あこが紹介する前に、真横でアタシを見ていた男が声を出す


「小林なるや、ナルでいいよ、みんなそう呼ぶから」


理一に負けず茶髪だけど、こっちはかなりプリン状態

顔は男前だけど、妙にチャラい雰囲気が見え隠れしている



「ナルは、男にも女にも手が早いから気をつけた方がいいよー」


と、理一は携帯に目を向けたまま語尾が延びた話し方をする

男にも女にも手が早いって……「バイセクシャル?」と隣の男の顔をじっと見ると、笑顔で返された

……否定しないって事は


斜め上から「違う違う」とあこの笑い声が聞こえた




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