☆ハイローハート
「あ、今日あのテレビあんじゃねーの?」

弟は食べ終わるとソファーに移動してテレビのリモコンをいじっている

「みさきちゃんも一緒にテレビ見て行ったら~?
遅くなったら理一か龍に送らせるし」

「仕方ねーから、みさきに俺の特等席ゆずってやるよ」

弟はそう言ってまたソファーをあけてくれた

一緒に食器を片付けていた理一ママが「龍はね、あんな言い方してるけどみさきちゃんの事すごく気に入ってるの」と耳打ちしてくれた

「え~、うれしいな~♪
兄弟欲しかったから」

理一パパがプシュっと缶ビールをあけてテレビの前に座る

「いいですね、こうゆう図
なんか、サザエさん一家みたいに温かい」

アタシはテレビ前の一角を微笑みながら見つめていた

「みさきちゃん、毎日でも来ていいのよ?」

「え?さすがに毎日は……」

「だってみさきちゃんの食事量なんて、男共の間食程度の量なんだもん」

理一ママはタオルで手を拭きながら「ホラ、テレビ見てきていいよ」とアタシの背中を押した


ソファーに座ると、リューイチが「ほい」とクッションを差し出してくる

「何?」

「それ抱きながらテレビ見ると落ち着くから」

……落ち着くって……

リューイチ、かわいいッ

「ありがとう」

と、アタシはクッションを抱いた

あー、ほんま、なんか……落ち着く


と、アタシは図々しくもすっかり落ち着いて、長々とそこでテレビを見ながらキャッキャと笑って過ごした


リビングのドアが開いて、首にタオルを巻いた理一が仏頂面で立っている

「みさき、何時までいるつもりだよ」

そう言われて時計を見ると22時半を過ぎている

「わあ!ごめんなさいこんな遅くまで」



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