☆ハイローハート
理一パパはぽわんとした表情で「女の子がいるっていいな~」とまた言っている

アタシは荷物を持って理一ママに挨拶をした

「またいつでも来てね~
誰か男に送ってもらって、酔っ払いは役にたたないかもしれないけど」

「あ、でも一階下に降りるだけだから大丈夫です」

カバンを持ちながら玄関で靴を履く


「サッサと風呂入って中坊は寝ろ!」

「なんだよ、理一だって数ヶ月前までは中坊だろッ」

「うるせー、理一って言うな、理一兄ちゃんだろ」


ゲシッと音がしてそっちを見るとリューイチが理一に蹴っ飛ばされていた

「俺がみさきを送ってくんだよ」

「お前風呂まだだろーが、先入れ
俺が送ってく」

理一はスウェットに濡れた髪のままクロックスに足を入れた

「チェ!なんだよ俺が行きたかったのに」

と言いながらリューイチはお風呂へと向かっていった

玄関を出ると風がお風呂上りの理一の匂いをアタシの許に届けた

首にかけたタオルはそのままで、非常階段の方へと歩いていく

「ここでいいよ理一、ほんまに階段降りるだけやし」

そう言ったのに、理一は無言で階段をどんどん降りていった

少し離れてついて行く


あっという間に5階につくと、あっという間にアタシの家の前


「今日はいねーな、怪しいおっさん」

あ、だから送ってくれたのね
……と今更気付く

ピンクうさぎのついた鍵を取り出すと、そのうさぎの首についた小さな鈴がチリ……と鳴り揺れる

「今日一緒にいた男、誰?」

「国坂くん」

「名前なんか聞いてねーよ」

「……今朝手紙もらったの」

「今朝出会った男にもう家の場所教えてんのかよ」


< 133 / 756 >

この作品をシェア

pagetop