☆ハイローハート
「んで理一、チューしたのかよ、チューは」

ナルが改まって理一に聞いている

モロは近くにあった猫用のねこじゃらしのおもちゃでとよきの鼻あたりをファサファサして、とよきにおもちゃを取り上げられていた

今度はそれでとよきがカブをいたぶっている

「チューなんて、もうとーっくの昔」

理一が自慢気にそう言った

「へえ、いつ?」

ナルは興味津々らしい

「遊園地の帰り」

「じゃあじゃあもうそれ以上の関係になっちゃってたりするわけ??」

「それはもしそうだったとしても教えねー」

「なんだよ、もったいぶってんじゃねーよ」と言いながらナルはモロの手を取った


「遊園地って言えば、俺もみさきとチューしたよね」


モロはナルの手をほどくと「ああ、あのゲリラみたいなキスをキスというならな」と答える

「ちょっとナルー、あんたモロに中途半端に手出したらアタシ怒るよ?」

「中途半端じゃねーよ、俺みさきの事好きって言ってんじゃん」

理一がジュースの残りを音を立てて吸い尽くしている

「ホラーハウスでさ、怖くもねえ人形にみさきがビビリまくってるのが可愛くってさ」

聞いてもないのにナルがペラペラとしゃべって、モロは呆れ顔

「みさきこわい~って俺に抱きついてくるから、大丈夫大丈夫って俺は優しく抱きしめながらだな~
こう……」

当時を再現するかのようにカバンを抱いて、そのカバンにチューしようとしているナル

本格的にアホだな、コイツ

なんて思ってみていると、ナルが抱きしめているカバンを理一が引っ張って取り上げた


「あ、何すんだよ理一、俺のみさきを取るなよ」

「俺のみさきって、これカバンだろ」


理一はカバンをぽいっと投げる


「アタシ自分のこと“みさき”って言わんし、めっちゃ脚色してるやん」

とモロが呟いた

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