☆ハイローハート
それからはナルがモロに「今年の夏は海に行こう」だの「地元のお祭りに一緒に行こう」だの、ずいぶん先の夏休みの話を一生懸命持ち掛けていた

とよきが「あこは夏休み、旅行でも行く予定?」と聞いてきて、首を傾げて唸る

うーーーーん

「今のところ予定はないかな」

「男は?」

「ああー、うーん、さあ、どーだろ??」

「誰とも約束してなかったら、花火大会一緒に行こうぜ」


とよきも、ずいぶんと先の夏休みの話を……

「あの花火大会、人多いからな~
ってゆうか、うちから見えるからここで見ようよ」


そういう話を聞きながらモロは何かを考えているのか会話に参加してこないし、理一は終始無言でイスの上であぐらに肘を置いてケータイを操作していた


なんとなく会話の途切れた瞬間に理一が立ち上がる


「俺、ちょっとさやかに電話するから先帰るわ」


と一人でサッサとカバンを持って出て行った


「なんだアイツ?」とナルが不思議がり

「お前が色々聞くからだろ」ととよきは言う

「こないだからさやかとケンカしてるんちゃうか?」とモロは推測する


アタシはどちらも違うと思っている

今日学校で、モロから理一の話を聞いた時から思っていた

理一に言っておかなきゃって……

MJの占いの通りなの、結局は

理一の面倒を見てしまう……

それが理一にとって居心地がいいかどうかはわからないけれど、そうせずにはいられなくなるの


座る人の居なくなったイスを見ると、そこに持ち主に忘れられた学ランが置かれてあった


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