☆ハイローハート
理一が想像以上にドーナツを食べた

「俺、めっちゃ食った」

「うん……」

「ごちそうさま」

と立ち上がる

玄関に向かいながら「一回家に入れたら二回も三回も同じなんだから、また格闘技見せてね」とサラッと言われてしまった

返事しかねていると、理一が更に押してくる

「今日ドーナツ食いすぎたから、今度は俺がおごってやるよ
お弁当箱まであとポイントどれくらい??」

「うーん、後2回くらいはミスド行かなあかんかな」

「よし、じゃあ1回は俺のおごりな」

「ほんま?ヤッター」

「土曜日は??」

…………休みの日にわざわざ??

「特に予定もないから大丈夫やけど……デートとかないの??」

「土曜日は約束してない」

「……じゃあ、土曜日で」

「ミスドで食ってー、帰ってきたら食べる分も買ってー、WOWOW一緒に見ようゼ」

そんなまったりした過ごし方、アタシよりさやかとした方がいいんじゃ……ないの??


ドキドキするのをごまかすように、靴をはく理一の背後に顔を突き出して

「そーんなにしてまで、理一はアタシの家に入りたーいのー??」と首を傾げると、勢い良く振り返った理一がアタシに顔を近づけた

「家に入りたいからじゃなくて、WOWOWが見たいからですー」

理一が距離の目測をあやまったのか、おでこがゴチンとぶつかった


「アイタタ、事故ー」

と頭を引こうとすると、両手で耳をふさぐように顔をはさまれて、1秒後に目が合った……と思うと、その1秒後には唇が触れていた

あごを引いて「ちょっと……ッ」と抵抗すると、また理一の顔が超至近距離


「事故じゃない」


って言葉とともに、熱をもった唇を押し当てられた

……何、してんのアタシ達、と理性が顔をのぞかせようとする

だけど、顔を押さえていた理一の手が腰にまわって強く引き寄せてくるから、アタシは彼の首に腕をまわしてギュッとつかまった


< 147 / 756 >

この作品をシェア

pagetop