☆ハイローハート


「り・い・ち・が……チューしてきたァ?!」


運動場の片隅、校舎の影、いつもの場所

あこはコンビニで買った「オムハヤシ」のスプーン片手にびっくりした顔をする

「なんで?」

と、身を乗り出して聞かれても……

「それ、アタシが聞きたいってば」

「さやかは??」

「さやかが、何?」

「別れたってこと?」

「……まさか」

あこは頭をフル回転させているらしい
視線が地面の上を忙しく移動している

「アイツになんで自分がモロに八つ当たりしてるのか気付かせるつもりが……
ただ単にあおったことになったわけ??」

「ん?何の話??」

「難しく言いすぎたか?
……アイツ頭悪いから……」

あこの言葉についていけずにいると、横からカチャカチャと音がする

アタシのクラスで商売をするためにお弁当箱片手に廊下を歩いていたMJを連れて来ていた

大輪の花が描かれているプリントのハンカチを広げてその上に腰をおろしたMJは、お弁当箱とお箸をきちんとそろえて包みなおしている

「少なくとも、少しは意識するきっかけにはなったからいいんじゃない?」

MJにはあこの独り言の意味がわかっているらしく……あこはMJに目を向けると「そうかな?」と首を傾げた

「でも、人の恋愛って口出しすればするほど、意図してない方向へ向かったりするのよね」

……MJ
それ、MJが言うセリフじゃなくない??

と思っていると、あこが「人の恋愛に口出して金もうけしてるMJが言うなッ!」と笑うから、アタシも同意して笑った


< 149 / 756 >

この作品をシェア

pagetop