☆ハイローハート
「あ、もう駅なの?じゃあそこの東口出てずっと東に向かって歩いてきて
自転車で迎えに行く~」

あこはそういいながらもチャリキーを手にして立ち上がった


「アタシ、今日ケータイ家に忘れてきたから、あこがMJ迎えに行ってる間に取りに行ってくる」と電話を切ったあこと一緒に玄関に向かう


アタシは自宅にかばんを置くと、今度はケータイとピンクうさぎのついた家鍵だけ持って再びあこの家へ


彼女の玄関のドアを開けると、あこの靴はないけれど、その代わりに男三人分の靴が増えていた


……理一達、あこがおらんのに上がりこんでる

彼らの声が開けっ放しになったままのあこの部屋から聞こえてきて……こちらには気付いていない様子


「理一はいいよな~みさきと一緒のマンションで
俺なら絶対入り浸っちゃう」

ナルの声


「っつか、みさきって理一ととよきには優しいのに俺には冷たいし」

……そっかな?

「お前がジョーダンっぽく“かわいい”とか言うからじゃね?」

理一の声に(うんうん)とうなずいた


……会話の内容がアタシなもんで、一歩踏み出せずにいる


「じゃー、マジでみさきに告白すっかな……」

ナル、マジで??
ますます足が地面から離れない


「理一はさ、みさきのことなんとも思ってねーの??」

「は?」

「だってさ、みさきかわいいじゃん
同じマンションにいるって思ったら、会いに行きたくなったりしねえ?」


あー……一回、出直すか
なんか、聞いてるのはまずい気がする


その判断をするのは、少し遅かった


音をたてないように、ゆっくりゆっくりと振り返ってドアに手をのばし、そーっとノブをひねる



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