☆ハイローハート
「俺、別にみさきみたいな女、タイプじゃねーもん」


……足が前に出なくて、まばたきだけを繰り返していた


「しかも俺、彼女いるし」


「理一はい~よな~
あのさやかが彼女なんだもんな」

「俺のタイプはさやかだし」


……こうゆう会話の時って、とよきは全然参加せーへんよな

妙に静かに凪いだ脳内が、くだらない分析をしている


「ナル、早く告白しねーと、国坂って男に取られんぞ」

「国坂?誰それ」

「みさきに最近言い寄ってる男」


静かに玄関を出て、息を殺しながらドアが閉まる直前

あこの部屋からぬっと出てきたとよきと一瞬目が合った



……ヤバ、気付かれた??


アタシは慌てて非常階段へと向かう

「え?モロどこ行くの?」

ちょうどエレベーターからあことMJが降りてくる

ボー然とそこに立ち尽くすと、あこがアタシの背後に目をやって「とよき……?」と呟いた


――遊園地でとよきの言った言葉が警告灯のように点滅しはじめた



『俺らくらいの男は女を見るとヤリたくなる年頃ってことだよ』



それは、あっという間に


あの日の意味をなくしていく……



「MJ、モロの家に一緒に行ってて、後からすぐ行くから」とあこはアタシとMJの背中を6階にとまったままのエレベーターに押し込んだ




< 200 / 756 >

この作品をシェア

pagetop