☆ハイローハート
とよきの目がアタシを捕らえて止まる

アタシはまた俯くと「話は終わり、後は理一に聞いてって……ッッ」と言いかけたあごをつかまれてムリヤリとよきの方に向かされた


「何これ」

「痛いから離して」


ととよきの手を振り払う


「その怪我何?って聞いてんだけど」

「関係ない」

「俺には関係ある」

とよきの腕がまたのびてくるから、寸前でそれを払う


「男に別れを切り出したら殴られた
分かったら帰って」


とよきは払われた腕をまたのばしてアタシの顔をつかむと、反対の手でこめかみにそっと触れた


……何?


怒ってるのか、悲しいのかわかんない表情



「で、別れたのかよ」

とよきの行動に多少動揺したアタシが答えずにいると手が離れていく


「せめて、電話くらい出ろって……」

「電話も壊されたから、使えないの
明日にでも新しい電話にするから……って、この顔じゃ外に出る気しないけど」


とよきはアタシに背を向けると「電話には、出ろよ」と言って玄関を出た


「わかった……」


そう答えるとドアがパタンと閉まり、少し早い足音が消えていく

エレベーターではなくて、階段を降りていったようだった




「Heavy rain」の巻





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