☆ハイローハート
「どんな反応すりゃいいのよ、その話聞いて」

「驚くとか」

「うっわ、マジで?ソーセージマフィンとエッグマフィンを交互に食べて!マジ、すげー」


……もうええわっ


二人で忙しなく一本はやい電車に乗って、MJが車両のどの辺りに乗って来るか予想する

家の方向が逆だから、反対方向の電車に乗って登校するMJ


アタシ達は電車を降りると、階段をおりてのぼって急いで反対ホームへ向かう
すれ違う同じ学校の生徒達が、学校とは逆方向へ行くアタシ達を不思議そうな顔で振り返っていた

あこの予想『MJは改札口に一番近い車両あたりに乗っているに違いない』

しばらくすると電車がやってきて、アタシはMJを見逃さないように改札口を見張る


「ほら、やっぱここに乗ってた」


というあこの声が聞こえて振り返ると、本当に改札口に一番近いドアから正に降りてこようとしているMJ


アタシ達は「MJおはよ」と左右からMJの腕をつかんで、電車に乗り込んだ

すぐに閉まって走り出す電車


「……ちょっと、乗り過ごしたじゃない」

MJが唖然と遠ざかるホームを見つめている

「ええやんええやん、朝マックしよ」

というと、「冗談でしょ?いやよ」とにべもない

「あこの姿みたらそんなこと言えんから」

アタシの言葉にあこを見やったMJが「……気をつけてって言ったじゃない」と言って、驚かされたのはアタシの方だった

「……まさか、こうゆう意味だとは思わなかったんだもん」

あこは言い訳っぽく視線を泳がせる


「え?何?会話が読めんねんけど」


と二人の暗号みたいな会話に割って入ると、MJが座るあこの背後の窓を少しだけあけた

電車の走る音が大きく聞こえて、入ってきた風がMJのワンレン黒髪を意味ありげになびかせる

彼女の行動はいちいち妖しく見えて、演出なのかどうかはかりかねた

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