☆ハイローハート
*****


「大学って言ったって、高校じゃないから終わる時間もばらばらよね」

いざ最寄り駅につくと、パラパラと大学生の姿はあるけれど、たった一人の男を見つけるとなれば至難の業だ

「とにかく、大学の方に行ってみようよ」

と歩き始めた

「モロ、彼の名前は知ってるの?」

「知ってるけど……手当たり次第に聞くの?」

「呼び出しかけてもらうとか、校門まで髪の毛一本持ってきなさいって」

「……そんな呼び出し、誰が応じる?」


アタシはすれ違う人達の顔を確認しながら笑っていた

知れば知るほど、MJは面白い


「ほんま、MJもあこもおもろいよな~」

「おもろい?」

「うん、キャラが濃い」

「……モロもね」

「ええ?そうか~?アタシ一番まともじゃない??」


「流暢な英語を話しそうな顔をしているのに、大声で関西弁を話された方がインパクト強いわよ……ダントツね」


MJの言葉を聞きながら、角から出てきた人物に目をとらわれて立ち止まった

学ランは少しよれていて、ボタンが一つなくなっているのがわかる


「……とよきっっ!!」

アタシが呼びかけると、彼は顔を上げて「よぉ」と手を挙げた


そのまま駅にUターン
ホームのベンチにとよきはぐたっと体を投げ出した


「……男見つけたんや?」

「当たり前だろ、見つけるまで帰る気なかったし」


MJがハンドタオルを濡らしてもってくると、とよきは自分で口の端や額を交互に押さえた

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