☆ハイローハート
市営の駐輪場に自転車をとめると、二人で駅の階段をあがっていく


まだボサボサが残る髪をホームにある鏡の前で整えていると、鏡越しにあこと目が合った

自分の髪とアタシの髪を見比べている


「ねえ、その髪って巻いてるの?」

「これ?パーマ」

「ふ~ん、いいね、外人さんってゆるいパーマでもサマになるから」

「外人って、まあ、アタシは半分白人のハーフやけど……

日本生まれの日本育ちやから違和感あるわ」


アタシとしては、あこのつやつやの黒髪にも憧れるけど……そういうもんなのかな


朝のホームは行き交う人の数が多い

電車に乗り込むと、ぎゅうぎゅうではないけれど、座れる程空いてない


「入学して早々……だけど、こんな天気のいい日に学校なんてつまんないね」


あこの意見に、同感


窓の外を流れる景色はまぶたが痛くなるほどの晴天で、室内にいるのはもったいない


「昨日あの後、ナル達がまた一緒に遊びたいって言ってたよ」

「ああ……

でも、思いっきりパンツ見られたし……

しかも“今夜のおかず”とか言うし」

「うん、あなた声でかいわ」


はっと気付くと、横のサラリーマンがこちらをガン見


「アハハ」って、一緒にいる時この女はよく笑ってる

その笑顔の無邪気さが、また外見と違って意外


「ま、でもマンションも一緒なんだし、あそぼーよ

悪い人達じゃないしさ」


「んーー」


煮え切らない返事をすると、あこが携帯を取り出した


「はい、番号送信するから、受信して」




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