☆ハイローハート
また男の体について考えている事に気付いて思考を振り払った


エレベーターで5階に降り立つと、本当に玄関の前まで送ってくれて……

「鍵をしめるまで安心できないから」

と彼の目の前で「ありがとう、バイバイ」とドアをとじて、鍵までかけさせられてしまった


めっちゃ心配性


でも悪い気はしなくてアタシはニヤニヤしながら靴を脱いだ

他の靴が全て靴棚に収納されている


……あれ?アタシ今日出かける前に玄関きれいにしたっけ??

なんて一瞬思ったけれどインターホンが鳴ってすぐにそんなことはどこかへ飛んでいってしまった


国坂くん?

そのまま確認もせずにドアをあけて「どーしたん?」と顔を見上げてフリーズ


両手に重そうな何かをぶら下げた理一が立っていた


「母さんが“作りすぎたからみさきに持っていってやれ”って」

「あ、ありがと」

「重いから、早く入れて欲しいんだけど」


そう言われて、慌ててドアを大きく開けた


「今エレベーター前で、国坂とすれ違った」

靴を脱ぎながら理一が言う

「あ、うん……」

「ここに来てたわけ?」

前を行く理一のズボンのポケットからケータイが見え隠れしている

「送ってくれたの」

「送るならマンションの下までで十分だろ」

「……あ、うん……」


なんか、微妙に言葉がとげとげしくて、さっきあった変な男の話を切り出せなかった

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